サーフィンを楽しむステージは海です。

地球の海の割合は約8割であり、この大自然のステージに発生する波に乗るスポーツであるサーフィンは、自然が奏でる素晴らしさを体感できる魅力的なスポーツです。

その反面、自然現象は人間の力ではとても太刀打ちできない危険も多いです。

サーフィンを十分に楽しむためには、海のもつ素晴らしさ、恐ろしさを理解した上で海に入ることが必要です。

1.海の魅力と危険

サーフィンに限らず、海をステージとして楽しむスポーツを行っている人は、ほとんどの方が海の魅力に取り憑かれているのではないでしょうか。

朝日が差す海面、心地よく頬を撫でる海風、そして心落ち着かせる夕焼けの浜辺など、天気によって様々な表情を海は私達に見せてくれます。

海は優しげな表情とは異なり、時に荒々しい表情で我々に襲いかかることもあります。

陸地と海の間にある渚には、海の生物、浜辺の生物も多く、普段陸上で生活している私達には未知の世界なのかもしれません。

サーフィンは海を知る自然を知ることのできるスポーツです。

1.海に潜む危険

かつてライフセーバーの友人に聞いたことがあるのですが、人は体の自由が利かなくなった時に、ほんの少しの水たまりに顔をつけて呼吸ができなくなるだけで死にいたってしまう危険があるそうです。

そして、潮汐、潮流、風によって様々に表情を変える波がサーフィンのステージです。

波のコンディションに変化があるからこそ、楽しめるものなのですが、危険をもたらす変化を常に察知するくせをつけ、状況判断の上、危険を感じたらすぐに陸上に上がる心構えが必要です。

ここではサーフィン初心者が海で回避すべき基本的な危険な現象について触れてみました。

2. 離岸流(リップカレント)

海のスポーツをやっている人は、ほとんどの方が離岸流(リップカレント)に注意しています。

浜辺に波が絶え間なく打ちつけますが、絶え間なく打ち付けるということは、その波が運んだ水が再び沖に流れる道ができています。

これが離岸流であり、夏の海水浴場の事故などは、波にさらわれて離岸流に流されてしまうケースが多いそうです。

行き慣れたポイントであれば、潮目をみて判断でき、中級者はこの離岸流を使って沖に出て行ったりもします。

サーフィン初心者は、あっと言う間に流されてしまい、パニックに陥ることがあるため、海に入る前に、そのポイントではどこでどのようなコンディションの時に強い離岸流が生じるのかをあらかじめ調べておくとよいです。

行きつけのサーフショップや、ポイントの近くのサーフショップに聞くのもよいでしょう。

離岸流はテトラポッドなの近くにも流れていますので、あまり近づきすぎると大変危険な目にあいます。

どんなにいい波がたっていても、初心者の方はそのような場所には入ってサーフィンしないようにしましょう。

3. 台風

遠洋の発達した低気圧、台風そして高気圧の縁辺風などにより、発生した波がうねりとなって沿岸部に来た時の波に乗るのがサーフィンです。

台風が近づいてくる時は、波が高まりますが、近づきすぎたら強風と高波で、もうとても海に入れるコンディションにはなりません。

初心者のうちは台風などが日本近海に発生している時は、その動向をチェックして、いつまでなら入れるのかを有識者に聞いておくのがよいでしょう。

土用波という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、台風がゆっくりと近づいている時は、一見穏やかにみえて、千回に一回は、非常に大きな波が入ってきます。

慣れてくるとそのような波も狙って楽しめるのですが、まだ慣れていない時は、急に大きな波に遭遇し、対処できなくなる危険があるため、そのようなコンディションの時には、なるべく海に入らないようにしましょう。

4. 寒冷前線

天気の変化によって生じる危険もあります。
発達した低気圧が通過する時などは、寒冷前線の通過に注意が必要です。

風向が急激に変化して激しい雨とともに強い風が吹きだします。

落雷の危険もあり、天気が急変するので、寒冷前線の通過が予想されている時は、サーフィン初心者の方は海に入るのは避けたほうがいいでしょう。

5. 雷雨

夏場の雷雨は、ほとんどが内陸部で発生するので海まで流れてくるのはまれですが、大気の状態が非常に不安定な時は注意が必要です。

もくもくとした雲が急に現れてきたら、一旦陸に上がって、スマートホンなどで気象レーダーをチェックしたほうがいいでしょう。

激しい雷雲が近づいてきている時は落雷の危険があります。

2. 海に入る心構え

このように天気の急変とともに波が急に高まったり、潮の流れが変わったりしますので、普段から天気図などをみて、風の吹き方、波の立ちかたをイメージしておくとよいでしょう。

それでも天気は人間の人知を超えているものですから、急な状況変化に対応できるように普段から体力トレーニングを行い、体調管理には気を配りましょう。

どんなに穏やかな波であっても、二日酔いや体調不良の時には海に入ってはいけません。

そのほか、クラゲなどの危険生物や浜辺の危険生物などが発生する時期を調べておくことも必要です。

てっとり早いのは、サーファーの友人を作るか、行きつけのサーフショップを作り、いろいろ教えてもらいサーフィンを楽しむのがよいと思います。

海を知る自然を知ることはサーフィンをやるとても大切なことです。